愛されオーラに包まれて
『俺はいいから早く、会社に戻れよ』
「わかってるよ。今日は定時が来たら猛ダッシュで戻ってくるから」
『うん』

布団から顔だけ出した弱々しい姿。
いつもと違う泰河に、私は不謹慎ながら胸がキュンとなってしまった。

一旦会社に戻って仕事して、再び泰河のマンションに行くと、泰河は夢の中だった。

でも、何も食べてないだろうな。

マンションに行く途中で食材を買っていたので玉子粥を作った。

作っている途中で起きてきた泰河。

「ダメだよ、まだ起き上がっちゃ」
『うん。ありがとう』
「私に遠慮はしないでね。当たり前にやってることなんだから。あ、局長からの伝言。明日もゆっくり休んでくださいって」
『でも明日は【きらきら】の搬入日でさ、前回遅延起こしてるから心配なんだよな』

【きらきら】とは、泰河の担当する保育雑誌。

「でも、今回についての校了日は守られたんでしょ?」
『守るのが当たり前だよ。時事ネタ扱ってるわけじゃあるまいし、あの編集部はたるんでる』

雑誌の営業担当は大変だ。

泰河はさらに女性誌1つと料理ムックも担当している。

"やりがいあるけどね"と、泰河は言うけど、いざ、私がその立場になった時、同じようにこなせるかと言えば、想像もつかない。

泰河におかゆを食べさせて、そして私はここに泊まった。
すっかり泊まることにも慣れて、替えの服は常備してあるしね。
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