冷凍保存愛

 コーヅは強羅の持っている紙を覗き込んでとんとんと叩いた。

「ここ」

 そこには名前、人物像、どんな性格でどんなことに興味があって何をしているのか、仲の良い友人、彼氏は誰かが書かれていた。

 道子による情報収集はコーヅにとってはかなりありがたいものだった。

「名前が書いて無いのもあるな」

「そこは割り出せなかったんじゃないかな」

「一人だけ名前が載ってる」

「たぶん公開捜査で名前も出したんだよ。あとの二人は出ない」

「出ない?」

「出ていない」

「早く見つけないと」

「おう」


 道子は昨夜小田原に連絡を取ったが、娘の声で留守電が設定されていて、その内容は家族旅行に行っているので急用の方は携帯電話へお願いしますとメッセージが流れていた。

 しかも、そこには携帯番号の連絡は無く、携帯を知らない人はすべて連絡を拒否します的なイメージがあった。

 おかしい。家族旅行に行くなんてそんな情報をこんな留守電の設定にするなんて何か裏がある。と、道子はうっすら疑った。

 
 そこで彼女は海帰りに同じ新聞部の先輩の力を最大限に借り、他力と自力でここまで調べ上げたわけだ。

 それを強羅にメールし、この人たちの周りの人に当たって何があったか聞いてきてと指令を出した。

「ほら、ここ」

 コーヅが示した場所には、「成績優秀、品行方正」と書かれていた。

「なるほどな、みんな頭いいいんだ」

「それだけじゃない。ほらここ」



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