冷凍保存愛
真っ暗。
灯り一つない。
辺りはひんやりとしていて、背中とお尻から伝わる冷たさでそこが冷えた壁と床だということがわかる。
壁にもたれかかるようにして足を投げ出している。
手足が痺れていてうまく動かせない。
首もぎしぎしするし、口の中がじゃりっとする。
目を細めてみても何も見えない。
体が動くようになるまでしばらくその体勢でじっとし、暗闇の中だけど、何かがいないかどうかに意識を向けた。
鼻に届くのは薬品のかおり。
眉間に皺の寄るにおいに深く呼吸するのを拒否したくなる。
ちっ。
癖で舌打ちをひとつ。
「だ、だれかいるのか?」
間髪入れず飛んできた言葉には聞き覚えがあった。