冷凍保存愛

 誰かいる。

 辺りの空気が張り詰め、緊張が走った。

 息を止め、全神経を自分の周りに集中した。



「……………強羅………くん?」

「だれ? え? もしかして道子ちゃん?」

「やっぱりそうだ。そう。私」

「よかった。どこにいる?」

「全く見えないけど、声からしてたぶん左横くらいじゃないかな」

「てか、ここはなんなの」

「私も信じられないんだけど……」


 道子は、ここは小田原のうちの地下にあたるところだと言った。

 何かを飲まされて眠らされたみたいで、気がついたらここにいて、真っ暗で何も見えないから動けずにいたと強羅に伝えた。


 校長室で発見した小田原の秘密を握り、問い詰める為にここへ来たが、部屋に入れてもらった後の記憶がないということだ。

 スマホは手元にあるが電波が悪く繋がらず、そのうちにバッテリーも無くなり、今では何の役にもたたなくなっていた。


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