冷凍保存愛
早朝の学校は人気も無く、しんと静まり返り、あまり気持ちのいいものではなかった。
ちょっと怖い。この一言に尽きるだろう。
春なのにうっすら寒くて気味が悪い。
羽都音はようやくインフルエンザから解放され、今日初登校となった。
早く学校へ来た理由は、高校内の教室や音楽室、化学室や体育館の場所を把握する目的があり、また、自分の席の場所や新しいクラスメイトの名前を確認するのが目的の一つだ。
「お……はようございまー……って言ってもだれもいないよね。はは」
黒板に貼ってある座席表を確認すると、窓際一番後ろの席。
「やった、ラッキーじゃん。こんなラッキーってある?」
これで皆のことを見ることができるし、三日遅れで来た羽都音にとってはこれほどうれしいことはなかった。
「友達できるかな。みんなきっと仲良しグループできてるよね。仲間に入れてくれるかなあ」
心配はしつつも鼻歌なんか歌いながら机の上に鞄を置き、教室内を一周し、それから廊下に出て学校内の一人散策へ向かった。