冷凍保存愛

 この前のぼざぼざで張りのない髪の毛が嘘のように、綺麗な漆黒の黒髪はセンターからばっつり分けて後ろに流している。

 歩くたびに風になびき上下にさらりと流れている。

 細みの体は少し大きめの制服に包まれているせいか、その細さを更に強調させていた。

 しかし、出るところは出て、締まるところは締まっていて、目鼻立ちもはっきりとしているので見た目はよく見える。

 それでもクラスの中に溶け込めば地味な方だ。

 このクラスの女子はだいたい化粧をしているが、羽都音はノーメイクだ。


 一通り校内を歩き回ってだいたいの場所を把握し、もちろん親友のいる特進クラスの場所のチェックも忘れなかった。



 自分の教室へ戻り、前のドアから一歩教室へ足を踏み入れたところでどきっとして足を止めた。


 自分の席のところに男子が一人立っていた。


 こちらからだと後ろ向きで、じっと自分の机を見つめていた。






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