冷凍保存愛

 そこにコーヅの姿はなかった。

 どこにもいない。

 強羅は目で部屋じゅうを探しまくったが、コーヅの姿を確認することはできなかった。
 まさかの迷ったか。いや、あいつに限ってそんなことはないだろう。ってことは何かを見つけたか……

「羽都音」

 あっ。

 道子も思い出したように足を止め、それにつられて二人を引っ張っていた小田原も足を止めるかたちとなった。
 
「羽都音、ここに来てないんですか?」
 
 強羅の問いに、

「いや……ここに来たのは山際君のみだ。あとは君が来たくらいで他は誰も来ていない」
「……そうですか」

 やはりどこかに行ったに違いない。ここに来ていないとしたら一体どこに行ったんだろう。

「とにかく、ここを早く離れるよ」

 無理やり引っ張るように小田原は二人の腕を引き、外に置いてある車まで足早に移動した。

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