冷凍保存愛
「女子もいろいろあるよね。僕のところもそんなことあったよ」
「やっぱどこでもあるんだー。なんかちょっと安心」
コーヅは何か話しかけようとしたが、口を閉じて何度か頷いた。
「でも、こうやってコーヅ君に会えて嬉しい。だって、こうやって会ってくれるし。一緒にいられるの私かなり楽しいんだ」
あっ。と、口許に手をやろうとしたけど、手を繋いでいることに気づく。
みるみる赤くなる羽都音はどこを見たらいいのか分からず、離れるにも離れらず、更に身体中が暑くなる。
コーヅが自分を見ているのが分かるがそっちを見ることができない。
穴があったら入りたい。
手に汗をかいてきて更に恥ずかしい。
「羽都音ちゃん、ありがとう。僕も楽しいんだ。君とこうやって会って話して少しずつ君のことを知れて、嬉しいよ」
「ほんと?」
潤んだ瞳そのまま、コーヅをじっと見る。
「本当」
ぱっと明るくなった羽都音に釣られコーヅも満面の笑みになる。
「じゃあさ、妹さん探し出したらさ、みんなで出掛けない? 公園でピクニックとかさ、うちでパーティーとかでもいいしさ。ね、ね、楽しいよきっと」
コーヅは笑顔で頷き、ことばは発しなかった。
それでもストレートにしか物事を見たことがない羽都音はそれが嬉しくて、コーヅが何を思っているのかは分からなかった。
嬉しそうにする羽都音を悲しい目で申し訳なさそうに見て、小さく深呼吸し、
「そろそろ行こうか」
先に立ち、羽都音の前に立ってもう片方の手を差し出した。