冷凍保存愛

 首を大きく左右に振り、涙が溢れ鼻水が垂れ流しになった。


 裸にもかかわらず、大股開きで逃げようとするペイシェントを白衣を着た男はがっちりと抑え、
 床に押し付けるようにして今度は両足を拘束した。


 一仕事終えた男は額に浮かんだ汗を腕でふき、一息つく。


 ペイシェントは口を塞がれているので呼吸もままならず、涙と鼻水で気道が塞がり、目をひんむきながら苦しさに震え始めた。


 それを見て急いで口を覆っているテープを外してやると、体を横に向け肩を大きく上下し、酸素を肺に何度も何度も何度も送り込んでいる。


 落ち着きを取り戻したペイシェントは男を睨み付け、唇を真一文字に結んだ。


 なぜ自分が睨み付けられているのか分からない男は駄々をこねる子供を見るような目でペイシェントを見、髪の毛に優しく触れようとした。






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