冷凍保存愛

 外見にしてもぱっと見、人の目を引くタイプではない。

 背中を丸めて歩くので小柄だし体も小さい上にべったりした髪は目にかかり、メガネで顔を隠すようにしている男子に誰が声をかけようと思うか。


 しかし、それも彼の考えの一部でわざとやっていることは誰もが知り得ることはない。


 もちろん道子も。


 道子は独自に調べることに集中していた。

 一つはコーヅの妹のこと。そしてもう一つは小堺のことだ。

 自身の中に備わっていると信じるジャーナリスト魂が、小堺には何かがあると告げているのだろう。

 その感覚に従い道子は密かに小堺に関しての情報も集め始めていた。


 勿論これは小堺は知る由もなかった。


 自分の知らないところで自分のクラスメイトが自分のことを調べているなんて、そんなこと少しも思っていなかった。



< 67 / 225 >

この作品をシェア

pagetop