冷凍保存愛
ランチタイムにバイトをしていることを昨日突き止めたコーヅはこうして今日は羽都音に付き合ってもらって路地裏でひっそりと小堺の帰りを待ち伏せしている。
二人の距離は近く、体には触れない距離を保ちながら並んで壁を背に立ち、小堺が出てくるまで何気ない話をして時間を潰すことにした。
「僕の妹はね……」
コーヅの妹は明るく誰にでも分け隔てなく接するタイプでクラスの人気者だった。
飾ることのない性格のため、男女ともに友達も多く、頭もよかったので憧れの的にもなっていた。
告白もされるがそのすべてを断っていたという。
今は彼氏はいらないというのがその理由。
男子に興味が無いわけではなく、やりたいことがあるからだ。
大学に進学し、児童心理学を専攻し、悩み苦しむ子供たちのためにそういう施設で働きたいという夢を持っていた。
その夢を叶えるまでは一人でいい。そう思っていたそうだ。
しかし、高校生になった時には既に彼氏ができた。
それでもその彼氏も大学に行くという夢があり、お互いに励まし合って勉強を頑張るといった至って真面目な付き合いだったそうだ。
コーヅも何度か会ったことがあるが、真面目な男子だったという印象が強かった。