冷凍保存愛
「来た」
コーヅが話を切るように店の裏手のドアを指さした。
そこから出てきたのは小堺本人。
手には黒いエプロンを持ち、デニムに白いTシャツといったラフな格好で外に出、両腕をぐーっと天高く伸ばして空を見て、あくびを一つした。
首を左右にかきかき鳴らし、「疲れた」と一言つぶやくと、その場で空を見上げたまま動かなかった。
しばらくそのままの格好でいたが、再度首の骨をぽきぽき鳴らした。
ポケットから電話を出すと誰かにメールをし始め、腕時計に目を落とし時間を確認し、踵を返した。