思い出レストラン-ホットミルクの隠し味-




まだ私が義務教育を受けていた頃、彼の家によく足を運んでいた。



話を聞いてもらって、ぴったりとくっついて、ホットミルクを飲んで少し泣いて。

そして私はまた、さみしさをかき消して毎日笑顔を浮かべていた。



あの頃に戻りたくて、戻れなくて。

消えた儚い幸せに手を伸ばして空を切った日々。



どんなことでも頑張れなくなってしまったあの日はもう遠いけれど、そばにある。






大丈夫。

もう私は、大丈夫。

迷子には2度とならないわ。






こくん、と飲み干して、涙で痛む頬を拭った。



「うさぎさん、ここはとても不思議な店ね」



ニッ、とうさぎは笑った。



彼から一生離れられないことを実感。

だけど、手にした一杯の思い出が唯一、私を癒してくれるのだから、許してくれるでしょう?



「もう一杯いただいてもいいですか?
あとせっかくですから、なにかおなかに溜まるものも」

「わかった」


















ねぇ、お兄ちゃん。

私はやっぱり、あなたが好きです。






だからね、私、頑張るわ。






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