スケッチブック

発覚









ある日。












その日は確か雨、だったかな。








学力テストが終わって帰宅したら、









自宅に一件の留守電が入ってた。










相手は知らん番号。









でも『折り返し電話ください』て言うてはる。













うちは電話をかけ直した。









プルルルル…





『もしもし?』






「あ、先ほどお電話いただいた相川ですけども。父に何か用でしょうか?」











目上の人には敬語。








昔からのオトンの教え。












すると、




『相川信也さんの娘さんですか?』







…相手はうちに用があったらしい。








「はい。相川美穂と申します。」







通信教育とかやろ~。






そう思ってんけど…。















『信也さんが働くコンビニの店長の中西言います。』




「は、はぁ。」






中西店長の話は聞いたことあった。






どうやら通信教育では無さそうやな。











『先ほどですね…























お父様が市内の病院に運ばれまして。』











一瞬、時が止まったかと思った。








何で。






今朝まで元気やったオトンが。








「…どこの病院に運ばれたんですか?」








冷静に、って自分に暗示をかけたつもりが。







びっくりするくらい声が震えてん。











うちは財布と携帯だけ持って、





戸締まりをして家を駆け出して、







病院まで全力疾走した。



< 2 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop