愛を欲しがる優しい獣

「……どっちが良いと思う?」

結局、決められなくて鈴木くんに意見を求める。

優柔不断な私をよそに、鈴木くんはあっさりと言ってのけた。

「両方、買えば良いよ。セカイジャーベルトは俺がひろむくんにプレゼントするから」

スタスタとカートを押して、レジに並んだ彼を慌てて追いかける。

「一度そういうことしちゃうと、他の弟妹にもあげなきゃいけなくなるよ?」

「大丈夫、大丈夫」

子供のおもちゃだからといって、バカにできるような値段ではない。

最近のおもちゃは大人でも楽しめるようにクオリティが上がると同時に、単価も上がっているのだ。

そうやすやすとプレゼントされて良い物ではない。

「だめよ。申し訳ないわ」

「良いって」

「でも……」

こんな押し問答を続けている内に順番が回ってきてしまい、鈴木くんは私が止めるのも聞かずに会計を済ませてしまった。

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