愛を欲しがる優しい獣

「ただいま!ごめんね遅くなって!」

買い物を終えて家に帰ると、既に夜の7時を過ぎていた。

今日は仕方ないとみれいゆで出来合いおかずを買ってきたが、急いで支度をしないと今度は子供達の寝る時間が遅くなってしまう。

脇目もふらずに台所にある冷蔵庫を開けて、買ってきた食材を中に入れて適当な残り物を引っ張り出す。

エプロンをつけたところで、鈴木くんが膝の上に恵を乗せてリビングに陣取っているのに驚いて目をぱちくりさせる。

「鈴木くん?」

今日は来ないのではなかったのか。

「遅かったね」

目が合うとそう言った彼の手には、ゲームのコントローラーが握られていた。陽がまた対戦をねだったのだろう。

「会議が早く終わったんだ」

鈴木くんは膝の上から恵を降ろすと、持ってきたみれいゆのレジ袋の中身を広げて見せた。

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