愛を欲しがる優しい獣

買い物を済ませ7時の放送に間に合うように、と家路を急いでいる鈴木くんに向かって尋ねる。

「ねえ、もし私がセカイジャーグッズを全部捨ててって言ったらどうする?」

別に本当に捨てたいわけではなかった。

ただの気まぐれ、ただの好奇心で聞いたのだが、鈴木くんは顔面蒼白になった。

「……5分だけ考えさせて?」

「ダメ」

あまりにも真剣な表情で言うから、つい困らせてみたくなる。

「じゃあ、せめて3分!!」

「ダメだってば」

からかうように言えば、牙をむいた獣のような鈴木くんに逆襲される。

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