愛を欲しがる優しい獣

22話:浴衣


「鈴木くん、見て!」

私の合図で、恵は鈴木くんの前でくるりと回転した。ピンク色の帯がふわりと揺れて、まるで水面を泳ぐ金魚のようだ。

「可愛いでしょう?」

私は自信満々で鈴木くんの返事を待った。

「浴衣だ……」

鈴木くんは感動したように小さく呟いた。

我ながら素晴らしい出来だと思う。インターネットや本で流行りの帯の結び方を勉強して、小物をリメイクして今風にアレンジしたかいがあった。

それは恵も同じだったらしく、鈴木くんの反応に満足げに頷いた。

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