愛を欲しがる優しい獣
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「来週、近所の花火大会なの」
「そうだったんだ」
お披露目が無事に済んだので、恵が着ていた浴衣を折り目が正しくなるように畳んでいく。
白地に蝶々の絵柄のついた浴衣は私が子供の頃に着ていたものだ。
私から早苗、そして今では恵のものとなった浴衣に思いを馳せる。
(昔は、これでお祭りに行ったなあ……)
「去年とサイズが変わっていなくて良かったわ。恵ったらすぐ大きくなってしまうから」
畳み終わった浴衣を和紙に包む。来週まで、子供たちがいたずらしないようにどこか目につかないところに置いておかなければならない。