ストーンメルテッド ~失われた力~

《 遺跡 》


「じゃあ、つまり......私達にはこれまで以上の強力な力が秘められているって事?」

「そうなるな......」

エンデュは、この遺跡にある柱にしては、まだ新しい柱に軽くよしかかりながら、そう言った。

「それって......凄い! 俺達、最強の神じゃないか!」

カゲンは、テンションが上がる。

「......あぁ」

しかし、エンデュは冷静に返事を返した。

「でも、まだ喜ぶには早いわね」

ジュノがそう言うと、二人は彼女に視線を向けた。

「大切な記憶が消されているのよ? ............忘れたの?」

どうかしたのか、と言うような表情で見つめて来た二人に少し、ムッとしたジュノはそう言った。

「とにかく、記憶を消されている訳も、ストーンが溶けた原因もまだ分からない以上、浮かれている暇はないわ」

「まぁ、確かにな。だからと言って、どう掴むと言うんだ? その......原因を」

エンデュは、真っ直ぐな疑問を淡々と話すジュノに冷たい口調でぶつけた。

「それはっ......」

ジュノは、言葉が詰まる。

「女王にも分からない事を、俺達だけの力でどう、答えを掴む? ......分かっていながら、どうとも出来ない事を口に出すのは......止めろ」

そう言い残して、エンデュは柱から体を離すと、去って行った。

ジュノは、ただ立ち尽くし、エンデュの向かった先に目を向けた。

「精神まで、コントロールが効かなくなってるなぁ。あいつ」

カゲンは、呆然としながら呟いた。

「......そのようね」

エンデュが向かった先から心配した様に目を離さず、そのままジュノは答えた。
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