ストーンメルテッド ~失われた力~
自分の手足、胴体は、壁に取り付けられた手錠、足かせ、胴体にもしっかりと嵌る頑丈な鉄にしっかりと嵌っていた。
周囲を見渡しても、鉄、鉄、鉄。
ここは、何処もかしこも鉄で出来ている建物だった。
恐らく、ここは数百年前に尊の国出身のアラハバキと言う名の変人と呼ばれた鉄の神が一人、孤独に住み着いていたあの家であろう。
アラハバキの死後、誰も居なくなったこの建物は廃墟となったのだ。
......こんな所に、なぜ私が?
と、言いたい所である。
そして、目の前に居るのは、ナキアと......もう一人はヘリオスだった。
彼女の口は重たくなり、言葉が出ない。
「お目覚めかい? ......ようやく目を覚ましたようだね」
ナキアは、そう言うと、にやりと気味悪く笑った。
「一体何がしたいの? ......ナキア、とりあえず、このゴツゴツした鉄を外して頂戴」
きりっとした表情で、ジュノは言いながらナキアとヘリオスを睨みつけた。
「いや、それは事がすんでからの話さ」
そう言うと、ナキアは鉄に嵌められたジュノに接近した。
そして、口を再び開く。
「俺達は......昔、ある目的の為に付き合っていた。だが、呆気なく君はオーディンのお陰でその事を、その他の事も......忘れた」
「一体、何のこと?」
意味のわからぬその発言に、ジュノは鳥肌を立たせる。
「覚えてなくても当然だろう。オーディンに記憶を消されたんだ......」
ナキアは、ぶつぶつと呟いた。
そして、ナキアはヘリオスに視線を向けると言った。
「ヘリオス、君の仕事だよ」
それは、珍しく優しさを感じる口調であった。
自分の知らぬ間に二人の間、何が起きていたのか、疑問を感じ、ジュノは頭の中で首をひねらせた。
ヘリオスは、使いにくそうな鉄のゴツゴツとしたテーブルの上に置かれた、透明だが微かに深い緑色のした液体の入る、小さな細い瓶を手に取った。
長年、黒い巣•ナイト通りを訪ねて回っているジュノだが、そのような薬は見た事がない。
すると、ヘリオスはジュノに接近をした。
ヘリオスの表情は何だか、もの悲しげだった。そのような彼の表情を見た事があっただろうか......?
「それを飲込めば、何もかもが分かるよ」
そう言って、にやり、ナキアは笑う。
ヘリオスは無言で、ジュノの口を強引に開けると、その正体のしれぬ液体を全て、彼女の口の中に入れ込んだ。
「飲み込め」
ナキアは、鉄のゴツゴツとしたテーブルに背中を付けると、無表情でそう言った。
ジュノは、そのまま......その液体を一気に飲み込んだ。
その瞬間......
彼女の瞳の奥底から、何かが蘇ってくる感覚をこの身で感じた。
周囲を見渡しても、鉄、鉄、鉄。
ここは、何処もかしこも鉄で出来ている建物だった。
恐らく、ここは数百年前に尊の国出身のアラハバキと言う名の変人と呼ばれた鉄の神が一人、孤独に住み着いていたあの家であろう。
アラハバキの死後、誰も居なくなったこの建物は廃墟となったのだ。
......こんな所に、なぜ私が?
と、言いたい所である。
そして、目の前に居るのは、ナキアと......もう一人はヘリオスだった。
彼女の口は重たくなり、言葉が出ない。
「お目覚めかい? ......ようやく目を覚ましたようだね」
ナキアは、そう言うと、にやりと気味悪く笑った。
「一体何がしたいの? ......ナキア、とりあえず、このゴツゴツした鉄を外して頂戴」
きりっとした表情で、ジュノは言いながらナキアとヘリオスを睨みつけた。
「いや、それは事がすんでからの話さ」
そう言うと、ナキアは鉄に嵌められたジュノに接近した。
そして、口を再び開く。
「俺達は......昔、ある目的の為に付き合っていた。だが、呆気なく君はオーディンのお陰でその事を、その他の事も......忘れた」
「一体、何のこと?」
意味のわからぬその発言に、ジュノは鳥肌を立たせる。
「覚えてなくても当然だろう。オーディンに記憶を消されたんだ......」
ナキアは、ぶつぶつと呟いた。
そして、ナキアはヘリオスに視線を向けると言った。
「ヘリオス、君の仕事だよ」
それは、珍しく優しさを感じる口調であった。
自分の知らぬ間に二人の間、何が起きていたのか、疑問を感じ、ジュノは頭の中で首をひねらせた。
ヘリオスは、使いにくそうな鉄のゴツゴツとしたテーブルの上に置かれた、透明だが微かに深い緑色のした液体の入る、小さな細い瓶を手に取った。
長年、黒い巣•ナイト通りを訪ねて回っているジュノだが、そのような薬は見た事がない。
すると、ヘリオスはジュノに接近をした。
ヘリオスの表情は何だか、もの悲しげだった。そのような彼の表情を見た事があっただろうか......?
「それを飲込めば、何もかもが分かるよ」
そう言って、にやり、ナキアは笑う。
ヘリオスは無言で、ジュノの口を強引に開けると、その正体のしれぬ液体を全て、彼女の口の中に入れ込んだ。
「飲み込め」
ナキアは、鉄のゴツゴツとしたテーブルに背中を付けると、無表情でそう言った。
ジュノは、そのまま......その液体を一気に飲み込んだ。
その瞬間......
彼女の瞳の奥底から、何かが蘇ってくる感覚をこの身で感じた。