ストーンメルテッド ~失われた力~
振り向けば、そこに、隼人の姿があった。

食いしばった表情で、額には、たらりと汗を垂らしている。急いで来てくれたのだろう。

「ごめん、遅くなって」

二人は、この場所から、外の景色を見渡しながら、話す。

「で、話って?」

「信じないと思うから、見せるよ……だが、驚くなよ」

そう言い残し、カゲンは、屋上の中央へ立たずんだ。

すると……

ボッ!

真っ赤な火の塊がメラメラと、彼の手の平の上に灯り出した。


ドサッ。

隼人は足を崩す。目を瞬き一つせず見開き、体はかちりと固まり、立ち上がる事を忘れていた。

何なんだ、一体、この人は……。

「こんなもんじゃないぜ?」

そう、さらりとカゲンは言うと、見る見ると手の平に灯った火は、大きくなっていく。
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