ストーンメルテッド ~失われた力~
カゲンは、ジュノを抱きしめた。

「誰だって不安な事くらいあるだろう? ............なっ」

「えぇ......そうね」

ジュノは彼の大きな背中に腕を回し、寄り添った。


温もりを感じる......。


こんな事......してしまっていいのだろうか。

女性をこんな風に、抱き締めたのは
......いつの、昔だっただろうか?


覚えていない......。


その記憶さえ、失われているのかもしれない。


俺に、一体何が起きているのか?


一瞬の間、そんなことを考えたが我に返っ
た。


ジュノは、何げにゆっくりと顔を上げて目を見つめて来た。

「............あなたも不安なんでしょ? そう顔に書いてあるわよ」

するとジュノは、にやにやと笑った。
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