ストーンメルテッド ~失われた力~
闘技場では、未来ある子供の神や若者の神達が技の練習をしている最中だった。

大気の神 シュウは大気を人間界へ送り込む為の練習をしていた。彼が手の平を上に向けるとその手の平の上で大気を作り出していた。風のように手の平の上で “ それ ” はくるくると回転をして大気が作られてゆくのである。

だが、それを感心している暇は無い。

カゲンは闘技場へ着くと早速、闘技場の中で人が空いているスペースに行き、念を込めて火を狙った場所に灯す技をしてみる事にした。

ひらひらと彼の目の前で枯葉が落ちて来た......。それに狙いを付けると見事に枯葉は火が灯り燃え盛る。しかし、それは一瞬のうちだった。火は直ぐに小さくなっていき地面に枯葉が落ちた..................。

すると、そこに誰かが まだ微かに火が灯っていた枯葉をわざとらしく踏みつけた。

......一重まぶたの細い印象的な目元。その瞳の奥底に、悪の野望をもっていそうな雰囲気だった。一度見たら忘れないような顔......それなのに、誰だったか 思い出せない。

「お前の技はこんな物か。それなら、俺が戦いの神だった方が百倍ましだぜ」

嫌味たらしく男はニヤリと笑った。

「それじゃあな。せいぜい頑張りな」

またニヤリと笑ったかと思えばその男は去って行った。

ムカついたが、拳を握り締めるだけで我慢した。
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