夫婦橋〜鈴RINと響いたその瞬間TOKIに
*第3章*秀也

戸惑いながらも微笑んで
蓮音は千尋に近づく。


「待たせてごめんねぇ。

あっ…」


いきなり肩の重みが
なくなったのと同時に

蓮音の大きな鞄が
その人の手に持たれた。


「こんな重い鞄は
俺が持ってやるばい。」


驚きの表情の蓮音に

満面の笑みを向けて
自分の肩に鞄を掛け
蓮音の頭に
ポンッと軽く触れた。

「蓮音ちゃん
間近だと本当に小さかねぇ。」


(この人…方言ある?

ハーフとか…?)

蓮音はそう思った。


「なぁに
カッコつけてんだよ秀也。
蓮音ちゃん
驚いちゃってるじゃん。」

涼が笑いながら言う。


「お帰りぃ!

この彼が蓮音に
会いたがってた人だよ。」

そう千尋が言い終わると
いきなり
秀也は蓮音の前に立った。
立ちはだかっているような形に
周囲からは見える。

真面目な面持ちで
何度も深呼吸して
目の前に立たれた蓮音は
息苦しく感じ俯いた。


〈蓮音ちゃん…

俺はずっと…ずっと前から…〉


秀也は
応援団の団長みたいな
姿勢になると
真っ直ぐに蓮音を見つめた。

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