声をくれた君に


「あ、待って!

よかったら一緒にごはん食べないか?

こいつが作るんだけど」

「いえ、今日は親が俺の分まで用意してると思うんで

また今度、ご一緒させてください」

「ああ、いつでも来ていいからな」

「ありがとうございます。

それじゃあ」

「私そこまで送ってくるね」

私は玄関に向かう悠梓くんを追いかけた。

「おじゃましました」

「すぐそこまでだけど、送ってくね」

「サンキュ」

玄関を出ると、冷たい風が吹き抜けた。

「寒いね」

「うん」

私は、つい先ほどの悠梓くんのことを思い出した。

「悠梓くん、すごくカッコよかった!

私のお父さんの方がタジタジで…」

そういう私の横で、悠梓くんは固まっていた。

「ゆ、悠梓くん?」

「…緊張した」

「うわっ」

悠梓くんはそのまま私にもたれかかるようにして抱きついた。

「ほんとはすごい緊張した。

好きなやつの親だと思うと、ちゃんとしなきゃって思ったけど

心臓、やばかった。

まじで緊張した…」

(そうだったんだ…

そうは見えなかったのに。

頑張ってくれたんだ、ふふっ)

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