声をくれた君に


ちょうどその時、

ガチャっ

「ただいまー」

「お、お父さん帰ってきた…!」

時計を見ると、すでに7時を回っていた。

(ウソ、もうこんな時間?!

どうしよう、悠梓くんどうしよう!)

「珠李ー、ただいま…っ!」

お父さんは悠梓くんを見て固まった。

(事前に悠梓くんのこと話しておけばよかった…)

私が後悔している横で、悠梓くんが口を開いた。

「珠李さんと同じクラスの佐野悠梓です。

珠李さんとはお付き合いさせていただいてます。

こんな時間までお邪魔してしまってすみません」

「あ、ああ、そうか!

あ、いや、全然構わないよ!」

(悠梓くんがしっかりしゃべってる…!

ていうかむしろお父さんの方がタジタジ!)

「珠李さんのことは大事にします。

これからもよろしくお願いします」

悠梓くんはお父さんに頭を下げた。

(カッコイイ…)

「あ、うん、こ、こちらこそよろしくお願いしましゅ!」

(カッコ悪っ…!)

「じゃあ、俺はこれで失礼します」

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