声をくれた君に


私はそのまま中学生になってしまった。

成長するがゆえに、人を傷つける言葉をたくさん知ってしまった。

加えて反抗期を迎えていた私は、歯止めが効かなくなっていた。

そんな時も、お母さんは入院し続けていた。

でも、なんとなく、頻繁にお母さんの元に向かう自分がダサく思えて

週一で病院に通っていたのも、月一に変わっていった。

お見舞いに行っても、お母さんに顔を見せて、10分もしないうちに病院を出た。

特に言葉わかわすこともない。

それでもお母さんは私が来るたびに

嬉しい、ありがとうって

優しく笑う顔がいつもくすぐったかった。


そんなやりとりが続いたままの高1の冬。

私は月一回通う病院に向かっていた。

その日は、返ってきたテストの点数が悪かったのと、部活で怒られたのと、友達と喧嘩したのと

いろいろあって、とにかく機嫌が悪かった。

不機嫌に地面を踏みながら、ふとあの頃の気持ちを思い出した。

どうして私はみんなと違うんだろう…

何もかもがお母さんのせいのように思えた。

機嫌が悪いタイミングでお母さんの病院に向かっていたから。

ただそれだけの理由だろう。

なんて馬鹿らしい八つ当たりなんだろう。

今ならハッキリそう思えるのに。

私はイライラした気持ちのままお母さんの病室に入った。

強く閉まるドアの音に、お母さんは少し驚いていた。

それでもお母さんはいつものように優しく笑いかけてくれた。

「珠李、今日も来てれてありがとう。

とっても嬉しいわ」

そんな彼女ののん気な言葉が、当時苛立っていた私のシャクに触ったのだろう。

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