声をくれた君に
高橋くんはクラスの中でも、特に小田さんと仲のいい男子のひとりだ。
「ほら、高橋くん、受け取ってやりなさいよ」
すると小田さんは突然私の腕を強くひねった。
(痛っ…
高橋くんに渡せってことなの?)
私は抵抗のしようもなく、小田さんから先ほど没収されたチョコを受け取り
おとなしく高橋くんに手渡した。
「うわ、櫻田のチョコとか嬉しくねー」
(私だって、高橋くんに受け取ってもらったって嬉しくないよ…)
「高橋くん、せっかくだから中開けて見てみたら?」
一瞬、小田さんが高橋くんを睨み付けたように見えた。
(ううん、気のせいだよね)
「何が入ってんのかなー。
あ、チョコプリンだ」
高橋くんはチョコプリンを手に取り、少しの間眺めていた。
「うーん、やっぱ手作りみたいだな」
そう言ってプリンの入った容器のふたをあける。
そして、その場でひっくり返した。
(うそ…)
私は思わず床に落ちたプリンを目で追った。
「櫻田が作ったもんなんか食えるかよ」
「そういうわけだから、櫻田さん、自分で片づけておいてね」
そう言って小田さんは私にぞうきんを投げつけた。