偽りの姫…本気の恋

今日は金曜日…

街の大通りは沢山の人混み

修二さんと並んで歩く私を見て

みんなビックリしてる…

「桜坂さん今晩わ」

「修さん今度、俺の店にも
顔出してください」

「桜坂の若いつも世話になってます」

「先日は有難うございました」

すれ違う人全てが修二さんに
頭を下げ、お礼を言う

「ああ」「又な」「今度必ず」

一言ずつ返事をしながら歩く

近くのフルスモークのセルシオ

後部座席のドアを開けて

私を乗せてから反対側に回る

運転席には人が乗っていた

「大事な人だ。事故起こすな」

車が走る

身体が触れる距離に座り

ほいって感じで差し出された手

そっとのせたら

大きな手が小さな私の手を包む

ご機嫌で鼻歌交じりのハミングも
低くかすれていた