。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。

*一結Side*






◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.◆

.。*†*。. 一結Side .。*†*。.




眠 れ な い の は 誰 の せ い ?





『離さない』




『離さへん』




玄蛇と響輔―――


あの夜……朔羅が倒れたっていう夜から数日経った。


その間あたしの頭を悩ませるのは二人の言葉―――


言った本人たちは揃って沈黙を守っていて、連絡一つ寄越さない。


響輔は元々そうだけど……玄蛇もだなんて……


あいつも一体何を考えてるのかしら。


そんなことを考えながら強いお酒を飲んでも、どれだけ疲れていても


眠れない、眠れない、眠れない


一体どれだけの夜をそう思って過ごしてきたのだろう。


肌荒れしてるし、頭痛はするし。苛々するし(これはいつものことか…)


――――「ほら、貰ってきてやったぞ。だけど“こんなもの”何故必要なんだ」


鴇田があたしに白い紙袋を手渡しながらタバコを咥えた。


「ちょっとぉ、あたしの前でタバコはやめてよね」


思いっきりしかめっ面をして抗議するも


「ここは俺のマンションだ。嫌ならお前が外へ行け」なんて言い返された。


父親が娘に『家から出ろ』なんて普通言う!?


あ……鴇田は普通じゃなかったんだ。


まぁ今はそんなことどうでもいいし。


あたしは紙袋の中身を確認して、白い錠剤のパッケージを取り出した。


鴇田が“こんなもの”と言ったのはこれが『睡眠薬』だからだ。




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