。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。

遠視!?




□ 遠視!? □


「だぁかぁらぁ!!四人で行けばいいじゃん!」


ボウルの中で溶きほぐした卵を菜箸でかき混ぜながら、あたしは眉間に皺を寄せて何度目かの言葉を吐いた。


話を分かってくれない戒に苛立って乱暴に卵をかき混ぜてるから、卵が無駄に泡立っている。


「だぁかぁらぁ!何で四人なんだよ!ダブルデートなんてイマドキの中坊でもやんねぇぞ!」


同じく目の前に居る戒も腕を組み眉を吊り上げてあたしを睨んでいる。


今どうゆう状況かって??


台所で、明日のMIRACLELANDデートに備えて、お弁当の仕込みをしているところだ。


しかも(意味もなく)二人で。(料理に関しては戒は役立たずだからな)


あたしはリコとキョウスケも誘って四人でダブルデートしよう、って提案したところだ。


二人の方がそりゃいいけど、あの二人を何とかしたい!って思いの方が強い。てかほとんどリコの為だよな……


「いいじゃん、四人でも。ピクニック行くって前約束しただろ?」


「四人ってあれだろ?どうせ川上と響輔も誘おうって魂胆だろ?で、あわよくば二人をくっつけちまえって」


「良く分かってんじゃん」


さっすが戒。あたしと違って頭のデキがちょーーーーっとばかり違うようだ。


「んなの誰だって分かるっつうの!!ちょーーーーっとばかり、じゃなくて全然違うわ!」


戒が身を乗り出してあたしの頭を両サイドからぐりぐり。


てかあたしの心の声が何故分かった!?


「大体お互い子供じゃねんだし、俺たちがお膳立てしてなくてもくっつくときゃ、くっつくって」


つ、冷たい……


てか!


「痛て!痛いイタイ!」


と、大して痛くもないのに大げさに嫌がっていると、


サー……


勝手口のガラス窓から雨音が聞こえてきた。


「んゲ!!雨っ!?明日のデート、大丈夫かなぁ……」


戒の手から逃れて、慌てて窓ガラスにベタリとひっつくと、戒が素早くケータイを取り出し


明日の天気予報を調べてくれた。


「明日は晴れだぜ?降水確率ゼロ%だ♪どーせすぐ止むって。


だから二人で……」


「四人で」


「二人!」


「四人!」


と言い合いをしていたときだった。




「ただいま帰りました~」




キョウスケの声が聞こえてきて、あたしたちは顔を合わせると二人して台所の入口めがけてDASH!







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