。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
考えてみれば、“このあたし”が、恋愛ごときに一々うきうきしたりワクワクしたりとか考えられない。
初恋したばかりの女子中学生じゃあるまいし。
でも………何で?響輔の顏や声を思い出すだけで、うきうきやワクワクを止められない―――
こほん
小さく咳払いをしてベッドを立ち上がる。
「you、あなた“まさか”出かけるつもり?それにいつになく挙動不審だけど」
マネージャーが目を吊り上げてベッドの上に並べた服とローブ姿のあたしとの間で視線をいったりきたり。思いっきり不審そうだ。
ベッドの上には今日着るために、ゆったりシルエットのオフホワイトレーススカートに、同じ色合いのブラウス。少し早いけど秋の先取りでピンクベージュのジャケット、
そして床には王道色のレオパード柄のパンプス、そして上品なゴールドのバッグは差しアイテムとして用意してあった。
何を隠そう、昨日響輔と別れたあとこっそり銀座に買いに行ったのよね~
完璧☆な筈なのに…
「な、何よ……買い物ぐらいいいでしょ?」
「買い物?誰と?」
マネージャーはさらに目を吊り上げる。
「べ、別に誰とだっていいでしょ!友達よ、友達」
半分当たってて半分は嘘だ。
「見慣れない服ね。あなたの好みの服とは思えないわ。それにあなた友達なんて居たの?」
マネージャーが腕を組んで顎を上げる。
……う゛…図星……
「な、何よ!あたしにだって友達ぐらい居るわよ!」
ふんっ、と言ってやって同じように腕を組むと
「その“お友達”と買い物は中止よ」マネージャーはそっけなく言ってベッドの上に並べた洋服を取り上げる。
「何するのよ!」思わずこっちも目を吊り上げてその手を止めるよう腕を掴んだけれど、マネージャーは乱暴にその手を振り払った。
「何って、youあんたこそ何考えてるのよ!女優として自覚はないの!?
つい最近アイドル女優のルミがフォーカスされたばかりじゃない!」
ピシャリ、と遮断される物言いにあたしは目を開いた。