。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。



外に出ると、さっきの雨から一転、空はすっきりする程晴れ渡っていた。来たときと同じ様に青色が広がっていたが、若干ピンク掛かってもいて、その不思議な色の空が


夕暮を物語っていたのがすぐに分かった。


時間を確認すると5時をとうに過ぎていた。


「ヤッベ!アトラクション、まだ乗ってないのあるよな!急がなきゃ!」


とあたしは慌てたが


「もう少し休んでいこうぜ。それにお前怪我もしてるし、今日は早めに帰って御園医院に……」


と言いかけた言葉に


「ヤダ!」


と、まるで駄々っ子のように遮った。


「ヤダって、お前なぁ、傷口から化膿したらどうするんだよ」と戒はちょっと怒ったように目を吊り上げたが


「御園医院はちゃんと行く。だけどもう少し……」




二人きりでいたい。




戒のシャツの裾をきゅっと掴んで目を上げると


戒はちょっと苦笑いで




「それ、反則……


そんな顔されたら、帰したなくなるやん」





帰さないで。


もう、あたし―――いっときでも戒と離れていたくないよ。




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