。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
血より濃い―――絆―――ね…
ヤクザは擬制の絆で繋がっている、或は結び付けられている。そこに血縁関係など皆無だ。
だが、絆は絶対で、例外を除いては、その絆は死ぬまで延々と続く。
それが血より濃い絆、と言えばそうだと思うが……
俺はネクタイに掛かったキリの手の上に自分の手を重ね
「そんなの俺には分からない。
―――だが、お前が“兄”の死を望まないのであれば―――」
「どうします?」
キリが目をまばたき、俺はキリの手に重ねた手に力を込めた。
本気を出せば、今すぐにでもこの細い片手一本折ることだって容易いことだが、
「それでも俺はお前を
殺したりはしない」
「“スネーク”に命を奪われても、恨まないと仰るのですか?」
「恨まない、
と言う答えは間違っているな、俺はスネークに殺られるタマじゃない。
その前に俺がスネークの、その首をとってやる。
そうしたらお前は俺を
恨むか?」
俺が目を上げて聞くとキリは俺の手からあっさりと手を引き抜き、ネクタイから手を離した。
「ほんの冗談ですよ」ふふっとキリはいつも通り妖しく笑う。
「冗談にしてはブラック過ぎる」
ふん、と鼻息を吐いて俺は乱れたネクタイを締めなおした。
「イっちゃんのことも、最初は疎んでましたよね。
それこそあなたにとって“厄介事”
青龍と白虎の盃を大事な時期に突如として現れた―――まさに
癌。
でもあなたは、イっちゃんの命が助かって、ほっとしてる―――
何故?」
突如としてイチの名前を出され、俺は回転椅子をちょっと後ろに退き、デスクに脚を乗せて腕を組んだ。
「そんなの決まってる。
あいつが―――
鴇田が変わったからだ。
イチと言う存在を認めて、受け入れようとしているから。
だから奪いたくないし、無くなって欲しくない」
横柄に、だがそっけなく言うと
「あら、妬けるわね♪ホント、嫉妬しちゃうぐらいのラブラブっぷり」
と、キリは赤い唇の口角を上げて色っぽく笑う。