godlh
夢の中で
あゆみは、いつまでも眠れずにいた。さっき自分が見た光景、彫野と梢がいる光景を思い出すと、高ぶる感情で眠る事など出来なかった。
―――結局、女友達なんて信用出来ない。
―――彫野君も信用出来ない。私は、その他大勢の女と同じ。付合うなんて、そんなの嘘。
怒りや不信感、裏切られた悲しみ。いつまでも頭の中を廻り続けた。
「はぁ。」
大きなため息を、天井を見つめながらついた。
「はぁ。」
体の中に溜込んでいる何かを吐き出したせいだろうか、なんとなくだけれど、気持ちが軽くなる気がした。
―――なんか、声を出したら、気持ちが楽になりそう。
顔を枕に押しつけた。そして、布団を頭から被った。
「わあぁぁ。」
それは、叫びとも泣き声ともとれた。
 全てを吐き出した。もう、あゆみの中には何も残っていなかった。まるで、フルマラソンを走り抜けたように疲れ切り、いつの間にか眠ってしまった。
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