godlh
「どうした?」
惟が、僕に催促している。
それが、さらに僕の鼓動を早めた。そして、気がつけば、僕の顔は真っ赤になっていた。
「だから・・・。」
「だから?」
この時、惟の口がうっすらと笑っている事に気がついた。
「惟ぃ。」
そう、感のいい惟はずいぶん前から、僕の言おうとしている事はわかっていたのだ。わかっていたのに、わざとわかっていないフリをして、僕が困ったり、恥ずかしがったり、そんな様を面白がってみていたのだ。
「とにかく、続けろよ。そんな事も言えないようじゃ、この先には進めないぜ。」
その言葉に、何かふっきれた気がした。小さく頷くと、僕は、僕の中に閉じこめていた気恥ずかしい言葉を口にした。
「俺は、愛内さんを愛しているって事だよ。」

昨日、テレビでドミノを見た。何万個に挑戦していたかは、よく覚えていないけどすごい数のドミノが次々に倒れていった。その中で、僕が一番好きだったのが、ドミノで作った大きなタワーが一気に崩れるやつだった。何故かよくわからないけれど、それを見ているとなんかとても幸せな感じがした。

「愛内さんを、愛している。」
この言葉を惟に打ち明けた瞬間、まるで、昨日見たドミノのタワーのように、僕の心にあった何かが、一気に崩れた感じがした。
でも、それは悪い感じじゃない。これから、何かを創造する、そんな感じの前向きの気持ちが表れたって感じだ。
「惟。俺、愛内さんを彼女にしたい。」
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