godlh
オレンジ
哲が帰った後の理科室には、夕陽が射し込んで、僕も惟も橙色に染まっていた。橙色に染まった僕の顔は、心の中にあった涙を、ぶちまけたようになっていた。
椅子から立ち上がり教室の中をウロウロしたり、意味もなくパソコンをつけてみたり、制服のボタンをジッと眺めてみたり、どうしていいかわからなくて支離滅裂な行動を取っていた。
「落ち着けよ。秀郎。」
そう言われて、すぐに落ち着けるような気分じゃなかった。
「落ち着けって?これが落ち着いていられる状況かよ。」
思わず、惟を怒鳴ってしまった。でも、意外なほど、惟の反応は冷静だった。
「よく考えろよ。哲はなんて言った?」
「なんて言ったって、あいつが愛内さんの事を好きだって事だろう・・・。」
「だから、それがなんだって言うんだ?」
意味がわからなかった。
でも、すぐにわからないって言うのが悔しくて、少し考え込んだ。
「わからないか?哲が言っていたのは、あいつが愛内・・・の事を好きらしいって事だけだぜ。愛内の気持ちに関しては、何もふれていない。」
考え込んでいる間に、惟が答えを言ってしまった。
それは、その言葉が、僕の心を落ち着かせたからだ。
「そ、そうだよ。そうだよなぁ。」
気持ちの高ぶりを押さえきれない。
励ましておきながら、今度は、どん底に落とすような事を、惟は言った。
「おいおい。愛内があいつの事を好きになり始めているって事だってあるんだぜ。もっと、冷静にならないと、叶う願いも叶わなくなるぞ。」
「じゃあ、どうすればいいんだよ。」
「まずは、敵の事を知るのが一番だろうな。」
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