godlh
もし、彫野があゆみを助けに来たとしたら・・・。あゆみは、今泣いている。そして、ここには梢と自分、そしてあゆみしかいない。自分たちが、あゆみに何かしましたと言っているようなものだ。彫野があゆみの事を気に入っているとは言っても、まだそんなに時間が経っている訳ではない。もしかしたら、あゆみから自分に心変わりしてくれるかもしれない。とすれば、ここはあゆみの味方をしている方が得策だ。かと言って、梢を敵にまわすという事は、クラスの女子を敵にまわすのと同じ事だ。この微妙な立場に、心は激しく揺れ動いた。
彫野は、ゆっくりと自分たちの方へ歩いて来た。
―――どうすればいいの?
たぶん、一分もしないうちに、彫野はここまで来るだろう。それまでに、自分の立場を決定しないといけない。リアは、今まで生きてきた中で、一番の窮地にいた。
彫野は、もう目の前にいた。
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