godlh
あれ
教室に戻って僕と惟は、それとなくクラスのみんなに、あいつの事を聞いてみた。
けれども、誰一人として、僕らが見た“あれ”を見た様子はなかった。
―――わざと見せられたのか?
そんな不安が、頭を過ぎった。
―――でも、わざと見せる理由なんてあるのか?
どう考えても、僕と惟、ふたり足しても、あいつの敵にはなり得るとは思えない。それをわざと見せるなんて考えすぎだ。僕の考えは、そこに落ち着いた。
―――僕も惟も、きっと意識していたから気がつく事が出来たんだ。
ただ、意識していた、いないに関わらず、僕らは“あれ”を見てしまった。と言う事は、あいつはネットに書いてあった情報通りのやつって事だ。つまり、僕ら、そして愛内さんの敵って事だ。
考えるだけで、怖くなった。昨日は勢いで動けたけれど、よく考えたら僕はとんでもない事をしようとしている事に気がついた。鼓動が高鳴り、胸が恐怖で押し潰されそうになった。

そして、気がついた。

―――惟は、僕が愛内さんの事を好きって知って、一緒に調べてくれただけだ。あいつを敵にまわす必要なんてない。敵にまわす必要があるのは、僕だけだ。愛内さんの事を愛している、僕だけだ。惟を巻き込むわけにはいかない。
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