オオカミさんと子リスちゃん
手汗で湿気た手で屋上へと続く扉をゆっくり開けた。

見渡すが誰もいない。


……まだ、来てないのかな?


体を360度回転させるが、やっぱりいない。

とりあえずフェイス越しに待つことにした。


グラウンドを見ると、サッカー部や陸上部の人達が練習している。

私は帰宅部なので、委員会がない限り放課後学校に残ることなく帰っている。

屋上から見る景色もなかなかいいものだ。

青空に浮かぶ綿菓子のような雲の動きをぼぉっと眺める。



「きゃっ!」


突然背後から腹部に腕が回されたため、私はびっくりして飛び上がる。

ゆっくり首だけ動かし後ろを見ると、眉をしかめ不機嫌そうな表情をした大上さんが立っていた。


< 35 / 112 >

この作品をシェア

pagetop