【完】神様のうそ、食べた。

「あの、あ、えっと、宮本先生の行っている産婦人科って、不妊治療とか月経不順とかも見てもらえますか?」

こんなこと聞いて、色々聞かれたらどうしよう、とかどんどん悪い考えが頭を過る。
けれど、相変わらず宮本先生は、肝っ玉母さんのような優しい笑顔でウインクする。

「うちは、別棟に不妊治療専門の先生が居るわよ。生理不順もそっちで見てくれるし、評判良いみたいよ」

「そ、そうなんですね……」

建物が別なら、赤ちゃんも見なくて心を左右されなくて済むかもしれない。




「つ、連れて行ってもらってもいいでしょうか!」

変な汗を体中から掻きながらそう言うと、宮本先生はにっこりスマイルのまま頷く。

「もっちろんもちろん。行きましょう」

それ以上は詮索してこないし、明日のクラスの話に戻ってので少し、緊張の糸が切れた。

私も、頑張らなくちゃ。
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