わすれなぐさ

まだあどけない寝顔を見せる彼女の髪をそっと撫でて、はっとした。


「なにしてんだ俺…」


伸ばしていた手を引いて、煙草を灰皿に押し付ける。

長髪ではないけれど、短髪でもない髪をかきあげて、風呂場に向かった。


もちろん仕事に行くために。


あまり、考えたくなかったんだ。
何故彼女を自分の元から離さないのか。

きっと、好きだとかそんなことじゃないと思ってる。
じゃあ、なんで、なんて…そんな感情鬱陶しくて仕方ない。


ただわかりきっていたのは、彼女と出会って半年、俺は恋人を作っていない、ということだけだった。



       さがす答え
(いい年して馬鹿なことしてるのは自分がよくわかってる。)(それでもなんでか、彼女と居たかった。)


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