ヒマワリ君の甘い嘘

side another girl






***






「はっ!?ちょ、え!?お前ら付き合ってんの!?」





「高崎、声デカすぎ」




二限目の自習の時間に、先生がいない事をいい事にクラスはそれなりにざわざわし始める。



もう二年生だっていうのに、勉強する気がないあたしたちは、小夏と日向の席の周りに集まって、いつものように離していた。



訂正。




いつもと少しだけ違うのは、この目の前の二人が彼氏彼女になった、ってことだけ。


あたしたち友人二人は、今さっき二人が付き合ってるっていう報告を聞いた。



ま、あたしからすれば凄く嬉しいし、予想もしてたし、そんな驚くことではないけれど。




こいつは違ったみたいだ。




「葵生が立花さんの事好きなのは、なんとなく分かってたけど…………まさか、両想いだったなんて……」



それはあたしも同感だわ。



両想い、ってところにビックリ。




「へぇ〜、そっかそっかぁ〜。おめでとう」




高崎はニコニコ笑って言う。





中学の時から、何も変わってないこの笑顔。



変わったのは、ルックスと身長と声だけ。


それ以外は何も変わってない。


凄くいい事だと思う。



あたしは中学の時から、高崎の元気で明るいところが、人間として好き。



偉いなーって思う。



ずっと笑ってるのって、結構大変だし、
そう思うんだ。




「(まだ二限目かー……早く昼休み、なんないかな)」




なんて、


期待するだけ無駄。




幸せそうな二人と、嬉しそうな一人の前で、引きつった笑みを作る私の中に浮かんできた、その思いを
あたしは心の中で一喝した。







< 130 / 201 >

この作品をシェア

pagetop