ヒマワリ君の甘い嘘

side boy






***







俺があの時二人の間に入らなかったのは


小さい自分を見せたくなかったからだ。




小夏があんな風に誰かと話しているところは、初めて見たから


すげえ動揺したし、


それとともに、どうにもならない独占欲が出てきた。



小夏を独り占めしたい、


小夏は俺だけのものだ、って




だけど、
ふたりが勉強している間に手を伸ばして割り込んでしまえば


小夏や、
南田にだって
情けないところを見られてしまう。



そんな姿、ぜってー見せたくねぇし



それに、小夏が俺にヤキモチを妬かせようとしていたことがすぐに分かったから



なにもしなかった。




…だけど、


あの後小夏に向き合うと、
そうはいかなくて、

小夏をとことん独り占めしたくてしょうがなかった。




自分でも驚くくらい、嫉妬してた。



俺を目の前にして、顔を赤くするこの人がどうしようもなく愛しくて、


ついつい強引にしてしまう。




小夏も小夏で、俺が余裕無いの分かって言ってんのか、
たまにすげえ焦るようなこと言ってくるし


それは……俺だけにも責任があるってわけじゃねぇと思うし……



いや、だって

すぐ近くであんなカオされて
何もしないほうが逆に無理だし……




あーー、クッソ。




付き合った始めとかは、
調子乗って余裕ぶっこいてたけど


日が経つにつれて、どんどん不安になる。



近くにいればいるほど、簡単に離れていってしまいそうで。





「……って、俺は女子か」




お昼休みの後半。



机にうつ伏せたまま、おれは独り言を零した。



「ん?…なに?」



聞き返してきた高崎に「何でもねーよ」と返事をすれば、「ふーん」と気だるい声が返ってきた。








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