哀しみの瞳
午後4時…外来の患者は、殆ど居なくなっていた。


「吉川さんっ、中へどうぞ!」



(小林)
「体調は、どうですか?」


(理恵)
「はい!おばあちゃんが、胎教にいい事、教えてくれるし、食事も、気を付けてくれてるので、今は、とても具合いいです」


(小林)
「和田ばあちゃんか!あの人は、本当親身になってくれるいい人だからなぁ!」



(理恵)
「はい!まるで本当の孫のように、可愛がってくれています。」




(小林)
「ところで、本題の話しだが………」10枚程もあろうかと思われる書類を机の上に置いた。


促されるまま、理恵は、一枚目から、目を通していった。理恵にも、理解しやすいように、それは、分かりやすく書いてあった。 っと言う事は?



(理恵)
「えええっ!そしたら……いいんですよね!私……」
思わず涙ぐんでしまう。



(小林)
「とても危険な賭けのような気持ちだ。今は。君には、かなり辛い事を強いるかもしれない。けれど、すべて君が無事子供を産む為にしかたがない!此処に書いてある通りにいったにしても、危険を伴う!くれぐれも、それをよく読んで、頭に入れておく事だ!」



(理恵)
「先生!……有難うございます。」
書類を大事そうに、胸に抱え込む。


(小林)
「途中に危険な状態になったら、必ず君の体を優先するから!念の為…」


最後の言葉は、理恵には、聞こえていないようだった。深々と礼をし部屋をでようとした。


(小林)
「あっ!ちよっと君?この事、父親である彼に報告しないのか?」


(理恵)
「………いいえっ…それでは失礼します。」
< 117 / 296 >

この作品をシェア

pagetop