哀しみの瞳
帰ったら、重子が心配そうな顔をして、夕食も食べずに、待っていた。


(重子)
「お帰りっ!!どうだったかい?」


(理恵)
「うーん、大丈夫!だだね、少し普通の人より、大変な事多いだけ。先生から、教科書貰って来た。今晩から、よくよく読んで頭にいれとかないと!」



(重子)
「そうなんだ!私に出来る事何でも協力するからね!」



(理恵)
「おばあちゃんには、働く所紹介してもらったり、家の事してもらったり、何から何まで世話になりっぱなしで…本当に有難う!元気な赤ちゃん、頑張って産むからね」


(重子)
「そうだよ!それが私にとっては何より嬉しいことだよ!」



それから先の6ヶ月は、理恵にとっては、壮絶な戦いとも言える、出産までの道のりであった。担当医の小林をも驚かせる程理恵の努力は、涙ぐましくも、すざましいものであった。




(小林)
「いよいよ、臨月に入りましたね!よく此処まで頑張った!」


(理恵)
「すべて先生のお陰です。仕事のこともあって、本当に最初は自分でも、まるで自信なかったんです。でも、おばあちゃんや、まごころ園のみんなにも、沢山助けてもらってここまで来れました。後は、本当無事に産む事が出来たらって、それだけです」



(小林)
「そうだね!陣痛が、むやみに長引かなければいいんだが、これだけは、その時になってみないと、なんとも……」
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