哀しみの瞳

秀の祈り

その夜、秀は何故か、落ち着かない自分を感じていた。…何なんだろう?この胸のざわつきは?


床に着いたのは、12時まわっていた。眠ろうとして、目をつむるが、頭が、冴えて眠ることが出来ない。


1時~2時と時間だけが過ぎていく。



もしかして………理恵に、何か大変な事が起きているとか?



あまりに眠れないので、秀は、リビングに降りて来た。電気をつけ、落ち着こうと、お茶を入れた。



すると、美紀が、奥から起きて来た。


(秀)
「ああっ、すみません!起こしたしまって!」


(美紀)
「秀さんっ、珍しいわね!どうしたの?眠れないの?」



(秀)
「……ええっ、……何か、胸騒ぎがして、眠れないんです!」


美紀は、久し振りに見る、秀の深刻な顔が、ただならぬ事があったのではないのかと思い、少し考え込んだ。
そして、言いづらそうに


(美紀)
「秀さん?…ごめんね、私…父から、それとなく、聞いてしまったのだけど……秀さんには、子供がいるって!……そのぅ、もう、その人、子供産んだのかなぁって……ああっ、また、私はっきり聞いちゃった。ごめんなさい!」



(秀)
「……………」

秀の顔色が一段と変わった。今月は…11月…今日は…14日になったばかり―――




理恵!!!理恵もしかすると、…この胸騒ぎは……
君は、遠い何処かで、俺の赤ちゃんを、今産もうとしているのか?
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