哀しみの瞳
理恵は、今頃、どうしているんだろう? 武から沙矢ちゃんとの件を聞いてから、なるべく自分からは、理恵に会わないようにしていた。理恵も僕の受験の邪魔をしたらいけないと思ってか、まったく家には来ない。どうせ、おじさんに何か言われているに違いない。可哀相に…… 沙矢ちゃんに慰めてもらっているのだろうか。勉強は一人でちゃんと、やれてるだろうか………。 土曜と日曜は、父さんも母さんも、いないから、武と沙矢ちゃんも誘って、久し振りに家に、呼んでやろう! やがて、待遠しかった、土曜日がやってきた。 片付けも、早々に武に連絡した。 (武)秀くーん!何、ようやく連絡くれちゃって!東大へ行く人は、忙しいんだねぇ。待ってましたよ。それで、理恵ちゃんには、連絡したのかなぁー? (秀)まだだ! (武)なんだってぇー! (秀)しばらくは俺からは、会わないようにしてた。おばさんにちよっと聞いたら、どうやら、おじさんに、俺の勉強の邪魔をするんじゃなーい!と、だいぶ叱られたらしい。かなり落ち込んで、ピアノも何日か休んだらしい。
(武)おおっ!沙矢ちゃんに聞いてて、何度か3人で会ったから、ふーん、元気無かったな。この、しゃべり下手な俺が、どれだけ、苦労して、沙矢ちゃんと2人で、慰めたことか?わかるか? 俺と沙矢ちゃんとで、どんだけ、明るくしようと振る舞っても、一向に、明るくならないんだぜ、ったく!どれほど、虚しいか、俺の気持ちは、お前になんか、解るまい? (秀)理恵は、俺でないと、だめなんだ。それは、5才の時から、そうなんだから、仕方がないだろう。 (武) わかったるなら、何で、会ってやらなかった! 武の想いは、充分解っているつもりだった。 (武)とにかく、今日、理恵ちゃんと沙矢ちゃんを、呼んでくるから。覚悟しておけよ!
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