哀しみの瞳
(小林)
「先日、風邪で内科の〇〇先生に診て貰ったでしょう?その時に先生が気になる事があるからと言って俺に知らせて来たんだ。専門の先生とも相談して早急に入院して詳しく調べる必要があるって事になったんだよ!」


(理恵)
「どうしても入院なんですか?」



(小林)
「まずは入院してさえくれれば、君の身体をあらゆる形でサポートできる。細かく調べた上できちんと対処したい。」



(理恵)
「去年の11月にまごころ園に赤ちゃんが置き去りにされて、その赤ちゃんを私が母親代わりに育てています。それに秀一の事もありますから、入院はしたくないのですが。」



(小林)
「君は、今度こそ、自分の身体の事考えないといけないよ!」



(理恵)
「私の身体は、もう病気にかかってるんですか?
病名は?」



(小林)
「いやっ、だから、もうちょっと、調べてみないと……」



(理恵)
「白血病ですか?私…もしかして…」



(小林)
「まだ何も…はっきりした事は、結果はでてないのだから……そのぅ、このまま、放って置いたら、大変な病気になる可能性があるという事だ!……だから、一日も早く入院して……」


理恵は、さっきの先生のお母さんとの会話を思い出していた。先生は、何かを詳しく研究している。何の病気?それって…私の病気の事?じゃあないですよね!



(理恵)
「先生は、とっても、素晴らしい先生だと思います。秀一を産むまでも、産んでからも、いつも私の事を気にかけて頂いて、私は先生に甘え過ぎていたのかもしれません。先生は、産婦人科医として、充分私を、今まで、助けてくださいました。
私は、今のままで、いいのです!秀一がいて、由理がいて、おばあちゃんや、園の方達の居る職場があって。その中で今はいたいんです!」



(小林)
「君は、何か勘違いしてないか?僕は一人の医師として、病気の人を助けたいだけなんだ!医師として、君に入院を勧めるのは当たり前の事なんだ!」
(医師として……だろうか?)
< 144 / 296 >

この作品をシェア

pagetop